Pyrographilica

パイログラフィリカ

岡﨑乾二郎「視覚のカイソウ」@豊田市美術館

f:id:boundary-line:20200205100059j:plain


最初に

 「自分に抽象は理解できないんじゃないか?」という不安とは裏腹に、ある程度は理解できたと思う。
 抽象画が見えたのは初めてかもしれない、といううれしさがあった。小学生のころ、テストで100点を取った快感のような嬉しさ。

 

 しかしこの岡﨑乾二郎(おかざきけんじろう)の目的は「抽象」が見えて喜びを感じることの他にも、「カイソウを現実世界に適用するためには、自分に何ができるのか?」という種子を各人が持ち帰ることがあるのではないか。

 

 

抽象的な作品群

 2次元のポリプロピレン、ポリエチレンの板を切り出して、3次元に組み立てる。

 「あかさかみつけ」や「おかちまち」の作品群は、2次元を保持しつつ、3次元を形成することが、カイソウなのかなと考えた。

 フォトショップでいうなら、レイヤーの情報を保持したまま、別形態で表現していくような感覚だった。

 

 アクリルペイントで大胆に大筆でカンバスにインクを盛り付けた、カラフルな抽象画もたくさん展示されていた。

 美術館HPでこれらを見たときは、ゼリービーンズのようで、美味しそうだと思った。実際に画の前に立つと、POPでカラフル、とても楽しそうな画だった。

 ここでパンフレットを開くと、森の中で展開する物語の風景が描かれていることが分かり、画とパンフレットを交互に観ていくと、最終的に抽象画なのに女の子が森から飛び出してくる姿が見えた気がして、自分の中の抽象画に対する印象が大きく変わった。

 そこには、抽象画が見えたうれしさがあった。

 

全体的な印象

 具体的に、No.○○のどれが良かったというより、一連の作品によって「物語」が作られていて、そのシーンひとつ一つは何気ない日常生活のようでいて、POPでカラフルな輝きを持つ抽象表現になっていた。

 物語に浮き立つ世界を感じることは、人間が物事をストーリーで理解しようとする、生理的なメカニズムを使ったモノかもしれない。

 私には岡﨑のストーリーに、人を元気づける力があるように感じられた。

 

 

f:id:boundary-line:20200205100138j:plain

 

受け取ったメッセージ

 岡﨑の展示案内には

世界が1次元的なものではなく、互いに相容れない固有性をもったバラバラな複数の世界からなることを示している。

 と書かれている。

 現実世界で対立が続く事象はたくさんある。

 岡﨑の展示を見て感じたことを、HPの展示案内から言葉を拾いつつ書くと、元々の個性を持ったまま、行き交うことができるようになると、それが成立するときに豊かな創造性が生まれるという「思想」を、現実的で具体的な作品、「抽象の力」で作られた作品で具現化してあった。

 作品には岡﨑の思想が、机上の空論や夢物語ではなく実現可能なのだ、という力強いメッセージが込められていた。

 

 アートスクールに通ていない私が、ぼんやりとでも感じられたのは、本当にスゴい展示を見られた証しだろう。

 

岡﨑乾二郎の展示は、2/24(月・祝)まで

詳しくは

Toyota Municipal Museum of Art 豊田市美術館